●[インターネットのココロ]
インターネットの電子掲示板への書き込みが引き起こした、女子小学生による殺傷事件。電子掲示板とは何なのでしょう。
13.悪意を感じやすい電子掲示板
今年6月に行われた「インターネットで不愉快な思いをした経験についてのアンケート」で、過半数の人が電子掲示板を挙げたそうです。他にも電子メールやチャット(筆談でリアルタイム会話する)といった会話手段がありますが、それらを大きく引き離しています。
実際にあちこちの電子掲示板を見たことのある方はお分かりでしょうが、「ウザイ」「キモイ」「しね」「バカ」といった言葉が目立ちます。ある掲示板では「どなたか○○について教えてください」という書き込みに「検索しろ!自分で調べてからレス(注釈:レスポンスの意)しろ!バカ!」と答えが書かれていました。
こういう会話が当たり前のようになっている掲示板が多いのです。「バカ!」と書く人は、実は悪意があるわけではなく、そういう言葉遣いが普通なのです。若い人たちは、掲示板を会話のように使っていますが、素早く意見を書くために、短い単語で書く傾向が強く、本当なら「その意見はあまり適切ではないと思いますよ?」と書くべきところを「ウザイ」とだけ、書くわけです。急いでキーボードを叩いているから、誤字脱字は当たり前、間違った文字がそのまま流行語(隠語的な)のようになってしまった例もあります。きちんとした文章など書くと「長げ〜んだよ!」といった非難を受けたりします。インターネットでは、要点のみを簡潔にまとめて書くほうがいいのは確かですが、だからといって見ず知らずの相手にいきなり「ウザイ」「キモイ」はヒドい。
ちなみに、電子メールやチャットは、主に気心の知れた仲間内で使われるもので、あまり過激な言葉は使われません。たまに使っても、その言葉の向こうに「相手の笑顔」が見えるような状況でだけ使われるので、問題になりにくいのです。
こうした「単語だけで話す傾向」は、携帯メールの普及とともにどんどん顕著になってきていて、若者のコミュニケーション力や文章力の低下に拍車をかけているようにも思えます。ちなみに、若い人(特に女性)は電話よりもメールでの会話を望む、というアンケート結果も出ているようで、インターネットによる自由な交流が、かえって正常なコミュニケーションを阻害している側面もあるのです。
例の女子小学生の事件も、こうした「本当は悪意のない書き込み」が、誹謗・中傷と受け取られてしまったのではないか、と思います。
現実だろうがインターネットだろうが、人と人が触れ合うには敬意は必須です。勉強も大事ですが、社会で暮らしていく以上、まず「相手を尊重すること」を教えていきたいですね。