●[インターネットのココロ]
ゲームのやり過ぎは身体にも悪いし、ほどよく遊ぶのが正しいと思います。でも、注意するアナタは、ゲームについて正しく知っていますか?
20.ゲームは1時間で遊べるか?
「ゲームは1日1時間」。よく言う言葉ですね。でも、私もよくゲームをしますが、1時間ではとても止められません。なぜって、1時間では、途中で止められる状態にならないゲームが多いからです。
昔のゲームと違って、今のゲームは何日も何時間もかけて、長いお話を遊ぶのが中心です。ゲームしない人向けに言えば「長編小説」や「長編映画」に近い内容で、主人公になりかわって、劇中の出来事を「やってみる」ことができる、という感じです。長い話ですから、ゲームを途中で中断しつつ、継続して遊ぶことになります。小説で言えば、しおりを挟んでおくようなもの。

ですが、小説と違うのは「ゲームは、いつでもどこでも中断できるわけではない」ことです。ゲームで言う中断とは、パソコンの「保存」のことです。いつでもどこでも「保存」してやり直しできるようでは緊迫感が無くなってしまうため、ゲームのほとんどは、中断するための条件があるのです。
例えば、ある有名なロールプレイングゲーム(主人公になりきって架空の世界を冒険するようなゲーム)では、中断するには「町の教会」に行かなければなりません。つまり、「特定の条件下」でなければ、中断できない作りなのです。町から遠く離れた場所まで冒険に行くことも多く、そうなると簡単に中断はできません。
例えばゲームの中で「魔物のいる洞窟」に冒険に行くとしましょう。冒険に出るのですから、武器や道具など準備が必要です。それに10分。目的地までの往復に片道15分×2。洞窟内での冒険は、小さな洞窟で30分。大きなものなら、1時間以上。ずっとゲーム画面を操作しているわけでもありません。洞窟の中は迷路だし、謎もいっぱい。それを考えるための時間もかかります。その間は、ずっと中断することが不可能な時間となります。電源を切ることもできません。

「なら、いつでも終われる町の近くだけで遊んでいればいいじゃない」というのは、無理です。だって、冒険しないとお話は先に進みませんから、遊んでいる意味がなくなってしまいます。本を渡して「最初の5ページだけを繰り返し読んでいいけど、その先は読むな」というのと一緒。理不尽きわまりない発言でしょう。

さらに、映画的要素もあるため、「映画」として勝手に話が展開していくシーンも随所にあります。技術の発展とともに盛り込める「映像」のボリュームも増え、時には30分近く、映画シーンを見続けることもあります。そういうときは、画面が勝手に進んでいくのですから、当然、中断はできません。また、そういうシーンがいつ出てくるかも予測はできませんし、長い冒険の最後に締めくくり(見せ場)として「映画」が挿入される例も多いわけです。1時間の冒険と思っていても、最後に「映画」になってしまい、結局2時間になることもありえますし、それは不可抗力であって子供のせいじゃないのです。
そういうゲームを買い与えておいて、なお「1時間で終われ」と言うのは理不尽なのです。

5分で終われるゲームもありますが、今、人気の高いゲームの多くは、1時間では遊べないものが多い。ゲームに限らず、大人は子供の欲しがるものの内容を十分に知らないで、買い与えてしまうことが多いですが、そういうことでは「子供との関係」を悪化させるだけです。子供が何をやっているのか、ちゃんと理解してあげて、その上で無理をさせない配慮をすべきでしょう。