●[インターネットのココロ]
自民圧勝と騒がれた2005年の衆院選。今回は選挙とホームページについて、ちょっと考えてみましょう。
24.選挙とホームページ
インターネットをあまり使わない人にはピンと来ないかもしれませんが、実は、選挙中は候補者や政党のホームページの更新が出来ません。公選法では、規定されたハガキやビラを除く「文書図画」の配布が禁じられているため、選挙期間中は候補者や政党名を記載したホームページや電子メールマガジンの配信は選挙違反になるのです。今回の選挙でも、衆院選が公示された8月30日以降、各党ともにホームページの更新が止まりました。数年前までは更新を止める程度ではなく、選挙中はホームページそのものを表示しないように手を加えていたくらいでした。

ですが、これはおかしな決まりです。選挙に際して候補者の考えや公約を知りたいのは当たり前で、今回も公示された直後から各党のホームページへのアクセスは急増し、通常の十倍にも伸びたそうです。
そもそも、政治家や政党のホームページとは、こういうときに活用されるべきものでしょう。ビラの類いにしても、ちゃんとすべての政党のマニフェストを入手して、検討した上で投票した人は何人いるのでしょうか。

遊説のために全国を飛び回ろうと、直接声を聞けるのはせいぜい数万人程度。しかも意見を交わせる可能性はゼロに等しい。けれどインターネットなら、電子メールや電子掲示板などで、直接意見を言える可能性があります。候補者自身による個別回答は無理でしょうけど、少なくとも意見が封じられることはありません。
ホームページを解禁すると他候補者への誹謗や中傷が増えるのでは、といった懸念もされていますが、それこそ、このコラムの主題である「心」の問題です。率先して立って、誹謗をするような人には注意を促してモラルアップに努める、それでこそ、国民を代表する政治家というものです。

そして候補者たちも、自らの熱意や理念を、伝わるまで何度でも書けばいいのです。電子メールマガジンのような、候補者側から送り付ける形式は検討が必要ですが、ホームページは有権者側が見に行く形式であって、押し付けにはなりません。街宣車などで騒音をまき散らされるより、ずっといい。
さらに、費用の問題も見逃せません。各党ともに経済再生を謳っていながら、派手なテレビCMなどに数百億もの国費を投じています。ホームページなら、その百分の1でもおつりが来る。よっぽど国民の負担を減らせるというものです。広告的・商業的な側面がクローズアップされがちなインターネットですが、その本質は「情報の共有」であって、決して宣伝ネットではないのですから。

高度情報化だの電子立国だの、立派なお題目を並べる前に、ネットとは何か、なんのために活かすのか、という根っこの部分をちゃんと勉強して欲しいですね。