●[インターネットのココロ]
平成十七年十月二十日、仙台の小学校のホームページを見て殺害予告をした男が逮捕されました。開かれた学校とネットの問題。ちょっと考えてましょう。
26.開かれた学校の是非
この事件では、学校側が誤って掲載してしまった生徒の個人名を見て、愉快犯的に脅迫メールが届いた、というもの。こういう愉快犯はどこにでもいるもので、学校だけに限らず、似たような事件が頻発しています。
学校のホームページは「開かれた学校」の象徴でもあり、学校側も対応に苦慮しています。教育関係者も、もしものことを考えると慎重にならざるを得ないため、最近の学校ホームページは匿名化が進み、名前を伏せる程度ではなく、生徒の顔にモザイクを入れるなど、少々やり過ぎなくらいです。
こうした問題に簡単に答えは出せないけれど、インターネットの便利さ・安易さが原因になっていることは否めないでしょう。今までだって広く配布される広報紙などで、「○○小学校・A子さん」などと顔や名前が掲載される例は多かったのですが、こうした事件はあまり聞きませんでした。お金も手間もかけずに情報を得られ、またやはりお金もかけずに簡単にメールを送れ、基本的には匿名で済む。だから、軽率な人間がイタズラをするわけです。けれど、一方でインターネットの匿名性も、個人情報保護などの法律を持ちだすまでもなく重要なことには違いありません。
もっとも、正直な話、メールであれホームページであれ、インターネットに流した情報は、必ず誰かに盗み見られている、と思っていいです。もちろん、普通の人には無理でしょうが、ハッカーとかクラッカーなどと呼ばれる専門家にかかれば、簡単だと言われています。そもそもインターネットというのは、色々なネットワークをつないだもので、あちこちの中継点を経由して動きます。仮にAさんがBさんにメールを送るだけでも、いくつもの中継点を経由しているわけで、それぞれの中継点に「足跡=記録」を残してしまう。ハッカーはそれを探るわけですね。身に覚えの無いメールが届くことが日常茶飯事という現実からも、どんなに気をつけても「必ず漏れている」ことが伺えます。だからといって、どうせ漏れるんだから構わない、というものでもない。ハッカーなど一部の問題は別として「軽率な一般人」にまで漏らすことはないですから。
さて、学校のことですが、やはり児童の名前を公開するのは控えるべきだと思いますが、スナップ写真程度なら、あまり慎重になりすぎないほうがいいでしょう。児童を学校のホームページで取り上げてあげたりするのは、教育上よいことだと思います。顔にモザイクの写真などは、不気味なだけで、子供たちの元気な姿とはかけ離れたモノになってしまいます。ただ個人名は伏せ、写真もスナップの類いで、個人が特定できるようなモノは避けたほうがいいでしょう。悲しいことですが、モラルのない人間もいるようですから・・。名前は、生徒自身が付けたハンドルネーム(ネットのペンネーム)で「リンゴちゃん」などと記載するくらいが適当だと思います。
いいことも、悪いことも、安易にできるインターネット。だからこそ、「心」を置き忘れないでほしいですね。