|
筆者の会社では、業務に支障がない限り、パソコンの私的利用はむしろ推奨しています。なぜって、そうしなきゃ本当のネット活用力が身に付かないからです。
|
32.パソコンの私的使用、ホントにいけないか?
|
06年6月5日の毎日新聞に「勤務中にブログ書き込み、職員を懲戒処分」という記事が。処分を受けた愛媛県の職員(地方局勤務・40代男性・係長級)は、勤務時間内に職場の公用パソコンを使い自分のブログ(インターネット版日記のようなもの)を61回ほど更新したりしていた、とのことです。同県では公用パソコンの私的利用を内規で禁止しており、ブログの更新に費やした時間(約28時間)分の給与や勤勉手当も返還させるそうです。「都道府県職員が勤務時間中のブログ書き込みで懲戒処分を受けたのは初めて」とのことですが、う〜ん、ちょっと度量が狭すぎ、というより、勘違いしてませんかねぇ。
問題の期間は十一月から四月までの勤務日数は週休二日として約90日とのこと。8時間勤務なら720時間ですから、その内の28時間というと、一日当たり20分足らずにすぎません。こういう単純な計算が成り立つわけではないでしょうが、これなら仕事の合間の「ちょっとした息抜き」というレベルではないでしょうか。誰だって勤務時間内に同僚と話したり、お茶を飲んだりして息抜きはしますから、その程度はサボったとは言われないものです。しかも、業務自体に支障があった、というわけでもないらしい。「私的使用がいけないから処分」という、何とも杓子定規なお裁き。
ちなみに、この職員が更新していたブログは「アウトドア情報交換」のものだそうで、倫理的にいかがわしいモノなどではないようです。近郊のアウトドア情報などは、県職員として、むしろ有益な活動のように思えます。
IT活用が大事だ、などと政治家も企業のトップも好き勝手に言いますが、そもそも自分で使っていなければ活用方法など思いつくはずもありません。いちいち意識せずに、さりげなく、自然にインターネットが使えるようになってこそ、様々な活用方法も見えてくるというもの。そのためには日常的にインターネットに触れさせるべきなのです。筆者など、一日中「私的利用」しまくっています(むろん業務に支障が出ない範囲で、ですが)。ネット上の情報からヒントを得て仕事のチャンスを掴んだことも度々あり、無駄のように思える「私的利用」でも、ちゃんと仕事の糧になっていくものです。ですからウチの社員たちは一日中社内にいても、世の中の出来事は把握しているし、流行にも敏感です。もちろん、仕事が滞ることはありません。
ホームページの閲覧禁止、メールの送受信禁止など、従業員のパソコン利用に制限をかけている会社は国内外を問わず多数派のようです。が、それでいて政治家も企業のトップも「IT活用が大事だ」などと好き勝手なことを言う。使ってもいない道具の活用方法など思いつくはずもありません。いちいち意識せずに、さりげなく、自然にインターネットが使えるようになってこそ、様々な活用方法も見えてくるというものです。
情報流出につながるような私的利用は決して許すべきではないし、限度を超えた使用も控えるべきでしょう。しかし、両手両足を縛って戦いを強いるような内規は、むしろ企業の発展を阻害し、従業員の意欲を失わせてしまうと思います。筆者は、社長室にゴルフグッズが置いてある経営者なんかよりも、ずっといいと思うんですがね。
|
|
|
|