●[インターネットのココロ]
ネット社会になって、自由勝手が許されるような考え方が目立つようになりました。
バレなきゃ、罰を受けなきゃやっていい。それでいいのでしょうか?
39.罰則のないことはやっていい?
インターネット巨大掲示板「2ちゃんねる」の管理人「ひろゆき」氏の全財産が仮差し押さえされるとのことです。東京地裁に申し立てた債権者は、同掲示板で誹謗中傷を受けていた東京都の会社員の男性。この件で書き込み者の情報開示を求める申し立てをしていたのですが、ひろゆき氏は法廷に一切出廷せず、仮処分決定後も応じなかったため、1日5万円の制裁金を科されることになり、今や約500万円にまで膨れ上がったわけです。
ひろゆき氏は二十九歳。インターネット界では有名人で、「2ちゃんねる」他による年収は「日本の人口と同じくらい」だそうです。彼が管理・運営する「2ちゃんねる」は、匿名で誰もが意見を書き込めるため名誉棄損などのトラブルが絶えず、これまでに何度も問題になってきました。先の男性も含めて、数多くの賠償命令が出ていますが、ひろゆき氏はその全てを無視し続けており、一度も法廷に現れたことはありません。昨年からは居所さえも不明で、雲隠れしてしまっています。
その一方で講演会などには出席しており、昨年十一月に某大学に招かれた際には、訴訟問題に関して「子供の養育費の踏み倒しと同じ」「固定資産はほとんどないから何も差し押さえできない」「嫌なら新しい法律を作ればいい」と開き直った発言を繰り返しているそうです。
「踏み倒せばいい」ということは、悪いとは分かっているのでしょうが、本人のブログやインタビューへの受け答えなどでは挑発的な発言が目立ちます。むしろ、この状況を面白がっている風が伺え、「2ちゃんねる」のタイトル画面にはジョークのつもりか「仮差押物件」の文字が出ていました。
自分は勝手にやらせてもらうよ。アンタも勝手にやればいいだろ?勝手にできないのはそっちの問題で、オレは関係ないでしょ?文句があるなら差押えでも何でもすればいいじゃん。できるものならね。・・・そんな声が聞こえてきそうです。
バレなければ構わない。バレても罰を受けなきゃ悪くない。最近はそういう人が目立ちます。実際、匿名性の高いネット掲示板では、毎日のように何処かの誰かの個人情報が晒され、誹謗を受けています。誰もが被害者になる可能性があるわけです。罰則はありますが、被害を未然に防ぐことはできません(刑罰があっても犯罪がなくならないのと同じで、罰則だけでは防止にはならない)。企業の不祥事も後を絶ちません。
現代人の倫理観が薄れてきているような気がします。現実だろうがネットだろうが、まず「心」なのです。自由な世界というのは、お互いを尊重する心があって、はじめて成立するものです。技術よりも知識よりも、まずはハートだと思います。