●[インターネットのココロ]
引っ越しをしたばかりで、まだ電話帳にも載っていないのに、セールスの電話が。その番号、どこで知ったの?
41.うっかりがコワイ、個人情報取扱い
インターネット関係の仕事をしていると、個人名、住所、電話番号といった「個人情報」に向き合うことが多くなります。法律でも規制されていて、それはインターネットに限った話ではありません。
転居して1週間とたたないのに、早くもセールス電話をしてきたのはOA機器リース会社と不動産会社。聞いてみると、どちらの会社も「名簿に出ていたから」とのこと。そういう名簿が出回っているんですね。不動産会社のほうの言によると、どうやら賃貸アパートの名簿が、あちこちに流れているようです。電話してきた担当者に「これって個人情報流失じゃないの?」と言ったら「こっちは個人情報保護を守ってるんだ、アンタ、文句があるなら保護法の第1条を暗唱してみろ」と、怒り出しました。客に向かって怒るくらいだから、このヒトは本当に問題がないと思っているのかもしれません。
さて、このセールス電話をしてきた人たちは、法律を破っているのでしょうか。個人情報保護法では、原則として「本人の同意がない限り、個人情報を開示してはいけない」ことになっています。私は同意していないのですから、明らかに法律違反があったことになります。ただし、違反になるのは電話をしてきた会社ではなく、勝手に名簿を作り、それを配布した人(会社)のほうです。
私は電話番号をインターネットで開示しているし、電話帳にも掲載しているくらいですから、こちらの電話番号を知るのも調べるのも構わない。調べた本人が、それを名簿に書き込むのも勝手で、直接ウチに電話してくるのも許容範囲です。
ただ、その名簿を第三者に渡したらアウト。本人の同意を得ずに個人情報を開示したことになるからです。例え名簿でなくても、教えた相手が一人だけでも、ダメなものはダメなんです。気軽に友達の電話番号を教えちゃったりすることがあるかもしれませんが、それも厳密には違法ですから、気をつけたほうがいいですよ。
そういうわけで、セールス電話をかけた会社のほうは、名簿が不正なものだと知らずに受け取ったのなら、むしろ被害者と言えるでしょう。でも、多くの場合は、不正と知りつつ、あるいは自分が法律違反している自覚なしで名簿を使っている可能性が高いでしょう。
個人情報を扱う場合には、必ず本人の許可が必要で、しかも特定の目的に限定されます。例えば、不動産業者にとって「正当な名簿」というのは「名簿に記載されている全員が、不動産業者に知らせることを承諾あるいは希望している名簿」でなければなりません。私が名簿の使用を許可していると記されていない限り、その名簿は不正なものであり、それを受け取れば、やはり法律違反です(もしも虚偽の記述があったのなら被害者ですが、その場合、名簿業者は甫人情報保護違反だけでなく、詐欺罪にも問われることになりますね)。
皆さんの元にも、聞いたことも会ったこともない会社やお店のダイレクトメールが届くことはよくあるでしょう。でも、その大半は、どこかで法律違反があったから届いたもの。そして、当事者も分かっていない可能性が高いわけです。被害者にも、加害者にもならないよう、気をつけましょうね。