●[広告漫画家のつぶやき]
02.週刊連載っていう形式は、そろそろ限界なのでは?
そういえば、昔のマンガは「いきなり連載終了」が多かった。
とってつけたような最終回になってるならマシなほうで、明らかに「次回に続く」っていう形なのに、そのまま終了。何の前触れもない。で、同じ作家が、次週から全然違うモノを描いてたりね。
作者が描く気がなくなっちゃたり、人気がないからだったり、理由は様々だったようだけど、とにかく「いきなり最終回」は珍しくなかった。
これは、あくまでも「今週号」を優先して考えていたからだろう。先週も来週も別のことで、今週号としてのデキだけを優先して考えているカタチ。読者も続きを読むために次週を買う、というよりも、今週が面白かったから次週も買おうという感じだった。単行本などは、あくまでも附随するモノであって、作家も出版社も「今週号のために作品を作っていた」ように思う。

今は、単行本の比重が大きくなってきたし、読者も大河的なモノを求めるから、今週号ばかりを考えるわけにはいかないのだが、それでも「今週号」という部分がもっとも大事である事は変わらない。
読者は今週号のためにカネを払うのであって、先週や来週を買っているわけではないのだ。単行本などで数回分まとめて読まないとダメっていう作りでは、バラ売りしたら無価値と考えてもいい。
一般的なマンガ雑誌は定期購読者専用ではないのだから、今週号としての完成度も考えなくてはならない。先週にも来週にも矛盾してしまうとしても、今週だけ見れば面白いっていうなら、それはそれで正しい事だろう。
とにかく今週をなんとかする。その上で、先週との矛盾を解消し、来週につなぐ工夫もするってのが、本来の「連載マンガ」なんだろう。

こないだ、立ち寄ったラーメン店で、久しぶりに少年ジャンプ本誌を読んだが「こち亀」と「ぴゅーと吹くジャガー」以外のほとんどのマンガは、何がなんだか分からなかった。これじゃ新規の読者が獲得できなくて、今の読者が離れちゃったら、雑誌がつぶれてしまう。きっと編集部も、そういう状態を苦慮しているだろう。新規獲得は事業には不可欠なものだから。
それでも、現実として「定期購読してくれる読者=最重要の顧客」に支えられて本を出せているわけで、彼等が連続性の高いものを望む以上、それを止めるわけにはいかない。週刊マンガ雑誌は、ある意味で袋小路に追い詰められている。

今の連載作品の多くは、本来は単行本として描き下ろしであるべき内容だろう。ボクはかなり読んでいるほうだと思うのだが、あくまでも単行本で、だもんね。雑誌で読んでいるのは「月刊誌」だけ。月刊だと作品ごとのページ数が多くて、それなりの満足を得られるんだけど、週刊ではじれったくて、つきあいきれないの。
そういうモノを週刊誌での連載という形でやっているのだから、アンバランスになるのは当たり前だとも思う。作品をちゃんと作りたい漫画家と編集者の確執も、そういうところが根本にあるんじゃないかな。

ボクは個人的に「週刊マンガ雑誌」という形態自体が、限界に来ているように感じる。作品の長編化がここまで進むと、ブツ切りで読ませる週刊連載では読者が満足できないし、新規読者の獲得も難しい。もしも週刊を売ることを第一義にするなら、それまでのバックナンバーをオンラインで無料公開するなどすればいいのだが、それでは単行本が売れなくなるから、やるはずもない。
で、そういう部分を補完するために、コンビニなどでは単行本とは別に、雑誌形式の「まとめ読み用」「総集編」が売られていたりする。安く買える総集編と言えば聞こえはいいが、あれって連載作品や単行本の「試食コーナー」ってことでしょ。結局、あっちのお金も、こっちのお金もほしいと追いかけていて、しわ寄せが読者に行っているようにも感じる。

マンガ業界は、基本的な構造そのままに40年以上、やってきている。
が、多メディア時代で趣味や嗜好も多様化した現在では、同じビジネスモデルでは通用しにくくなっていると思える。漫画家も、出版社も、そろそろ本気で新しいモデルに向き合うべきなんじゃないだろうか。
(週刊誌というよりも、月刊誌を毎週出せばいんじゃないかと思う。例えば第一週に出るジャンプは「ジャンプ1st」で、2週目は「ジャンプ2nd」とか。週刊ペースで無理なく描ける作家は、どの号にも載っていて、そうじゃない作家は3週目に一気に2週分とか、隔週号でやるとか)

むろん、そういう変革には困難が多く、おいそれとできることじゃないだろう。
たぶん、漫画家も出版社も、とてつもない大型リストラを迫られる。簡単じゃないよね。
でも、今のままではジリ貧だから、きっとどこかで、ソレをやらなきゃならないときが来るんじゃないかな。その予兆のような試みは、すでに始まっているしね。