●[やりたくないユーザーたち]
00.序文/本当はやりたくないユーザーたち
近年、<ASP>などによる更新管理の自動化によって、以前よりはかなりクライアントサイドでの管理が容易になったが、それでも、いつまでも<what's New>を書き換えない、新規製品の情報が掲載されない等のサイトがたくさんある。
スペシャルキャンペーンは、数カ月前に締め切りになっており、ニュースページは準備中のまま1年は経過している。商品データベースで検索しても「該当データはありません」としか表示されない。
しかも、そういうサイトに限ってオープニングムービーやらアニメーションなどに手間をかけているものだ。

この状態は、派手なネオン看板とショーウインドウを用意しながら、実際には営業していないに等しい。稀に訪れる閲覧者があっても、この状態では何のアクションも期待できない。
こうしたWEBサイトが実に沢山ある。
特に、中小企業サイトのみに絞り込めば、7〜8割は開店休業サイトといってもいい。

なぜ、そうなってしまうのか。

それは、本当はWEBサイトなどやりたくないからだ。
彼らはインターネットを見るのでさえ、億劫でたまらない。
彼らは更新用のテキストを書くのを面倒がっている。
彼らはパソコンの操作が苦手で、覚える努力を惜しむ。
彼らはWEBサイトを持っていても、本質的にはネット否定派なのだ。

名刺や広告にメールアドレスとURLを書いておくためだけに、ホームページを作ったようなもので、インターネットの可能性を感じてもいない。
もしも注文が取れたらラッキー。
宝くじを買うような気分で、本当は何も期待していない。
だからこそ、実質的ではないオープニングムービーやらアニメーションにこだわり、見た目だけは派手に仕掛ける。中身がない分を、演出でごまかしているのだ。
だが、見た目に騙されて商品を注文するほど、ネットユーザは愚かではない。
ゆえに、アクセスは更に低下し、サイトオーナーはますますヤル気を失っていく。
こうして、半年から1年も経過する頃には、まったく意味のないジャンクサイトができあがり、オーナーは毎月数千円から数万円の維持費を、無意味に支払い続けることになる。

こういう事態になってしまうのは、オーナー自身にも責任はあるが、制作業者にも問題がある、と私は考えている。

何のためにホームページを作るのか。
なぜ、IT化が必要なのか。
何ができて、何ができなくなるのか。

しばらく、そうした問題を考えてみたい。