●[やりたくないユーザーたち]
04.誰のためにwebサイトを運営しているのか?
あなたは誰のためにwebサイトを運営しているのか?。<我が社のため>に決まっている、というのは(間違っているわけではないが)あまりに短絡的な答えだ。

サイトは<お客様のため>にある。
では、客とは誰か?。<我が社の製品を買う人>というのも大雑把すぎて正しいサービスができない。客を具体的にイメージするのは商売の基本だ。男性か女性か、大人か子どもか、どこに住んでいるのか?、どんな仕事をしているのか?、どんな時に買うのか?、自社商品への経路(販路)はいくつあるか?、など、客の明確なイメージを持つ必要がある。

例えば、地酒の専門店。
客は大人で男女共、ただし男性が多い。酒好きな人(大酒飲みとは限らない)で全国各地にいて、オンラインでの購入だけ、などのイメージが出てくる。地酒の種類や飲み口で嗜好が分かれるから、自社製品が<洋食にも合う口当たり>といった銘柄なら、さらにイメージははっきりする。
この例なら、全国通販を狙ったショッピングサイトになる。商品の特長、違いを明確にしてブランドイメージを作り、サイトデザインも大人向けになる。
コンセプトがしっかりしていれば、更新頻度はさほど高くなくても、それなりの効果を狙える。

一方、これが近所の八百屋さんだと条件はガラッと変わり、近所に住んでいて、主に主婦。購入先は店頭のみ、大型スーパーではなく個人商店の融通のよさに期待する、経済観念の高い奥さん・・・、といったイメージが出てくる。
この場合は、店頭での営業をフォローする顧客誘導型のサイト構築が適当だろう。<奥さん、今日は大根が安いよ!>をオンラインでやるわけで、今日の新鮮!、といった毎日の情報が命になる。タイムセールスや日替わりの目玉など、更新が効果的だ。通販も不可能ではないが鮮度勝負のため難しい。むしろ買い物中の主婦を捉えるために、携帯コンテンツの整備が有効だろう。インターネットを使うなら、ホームページそのものより電子メールでのDMサービスの方が役立つかもしれない。

※すでに、中小企業のネット活用は、通販主体の全国展開より、リアル世界でのアクションをフォローする地域密着へと変わってきているのは再三言われている通りだ。
アメリカのコンビニサイトでは、ネットで注文すると1時間以内に店員が自転車で届けてくれるそうだ。隣接する商店と協力すれば、ネットを活用したバーチャルコンビニ(コンビニ店ではなくコンビニ機能)を作ることもできる(この場合、専門店が共同することで<目利きのできるコンビニ>として、新しい付加価値を生みだすこともできそうだ)。
こうした考え方は「バリューチェーン」と呼ばれており、今後の中小企業にとって必要な生き残り戦略と言われている。

アメリカでは、インターネットでモノを売るには1件当たり約30ドルのコストがかかると言われている。これは現実での10倍のコストに相当する。つまりインターネットでモノを売るには、現実世界以上にコストがかかる、ということだ。それでも、すでに頭打ちの現実だけでは生き残れないため、必死でネット事業にシフトしているのだ。
自己満足なサイトはさっさと止めて、本当に客のことを考えないと、インターネットでの成果を得ることはできない。