●[やりたくないユーザーたち]
06.お客様はワガママ?
YESであるが、ほとんどの場合はそれでよい。
そのワガママに応えるのが私たちの仕事なのだ。それに客がワガママのつもりで言ったことでも、プロの目からみれば大したことではない、という場合もある。
とりあえず、思い切ってワガママを言ってみることだ。
そして、自分たちの考えを聞いてもらう。予算も伝える。
心あるWEB制作者ならば、何らかの助言や意見を言ってくれるだろうし、予算的に不可能なことには、ちゃんと理由を説明してくれるはずだ。
その意見を容れる容れないは、あなた自身の決断による。
とにかく、あなたの熱意やヤル気を伝えるのだ。

私の場合も、まず話を聞くところから始める。
とにかく、まずは思っていること全てをワガママ放題、言ってもらう。
やりたいこと、やらなければならないこと、相手の知識度、考え方、意欲。
時には、WEBサイトの注文に対して、まったく違う広報プランを提案することもある。
インターネットより、チラシやポスターの方が効果的かもしれないからだ。
私はWEBを盲信していない。
WEBサイトの力も十分理解しているが、「どんな場合でもメール広告が有効」などと決めつけない。
お客様の大切なお金を預かるのだ。
効果を保証することはできないが、せめて最善を尽くしたい。
相手のワガママに、どう応えるか。
ここが企画者としての腕の見せ所であり、客との勝負でもある。
そのワガママは本当に、誰が聞いてもワガママなのか?。
無理だと言われていることは、本当に無理なのか?。
逆に、出来ると思われていることは、本当にできているのか。
また、それをやる意味は何なのか。

費用の面でも、どんなに少なくてもダメ、とは言わない。
むろん、限度はあるが、予算がないならないなりに対処できるのがホームページのいいところだ。
できること、できないことはハッキリ言う。

できるだけ、その場で何らかのアイディアを話すことが多い。帰ってからじっくりと考え直すが、打ちあわせのやり取りの中で感じたことは、どんどん言う。深く考える暇はないが、相手を前にした緊張感の中でこそ思いつくこともあるし、言葉にすることで、それはますます具体的になっていく。

そしてプランを提案する。預かったお金を、どう使うか、である。
同じ10万円を預かっても、作り込んだ2画面のみで勝負することもあるし、平均的な5〜6画面で構成することもある。
何のために、どんな根拠で、そうするのか。
すべて納得してもらってから、実際の作業に入る。

多くのお客様は、こちらの意図をきちんと伝えることで、理解してくれる。
だから、お客様はワガママを言うべきだ。
そして、私たちの意見を聞いて欲しい。


※中には、言うだけ言って聞かない、という人もいる。
できるだけ話を聞いてもらうように話す。それでまとまることもあるし、ダメなこともある。
ただ、「言う通りにしろ」の一点張りで話を聞かないタイプは、損をするのは確かだ。
話を聞かない、というのは、相手を否定することでもある。
一番の損は、制作者のノリが悪くなる、ということだろう。
WEBデザイナーやプランナーは人間である。上手くノセれば能力以上の仕事をこなす。当然、その逆をやれば能力を発揮できなくなる。
しかもデザインやプランニングはメンタルな仕事だ。決まったモノを売るのではなく、制作者が創りだすものなのだ。
ワガママを押し通すのは、お勧めできない。

※一方で、勝手なことばかり言う制作者も中にはいる。知らないと思って嘘を言う悪質な業者もいるかもしれない。そういう業者に引っ掛からないためにも、インターネットを十分に知っておくことをオススメする。とにかく使うこと。知るべきは、世間の識者が言うインターネットではなく、「自分にとってのインターネット」だ。

※どうしようもないワガママ、というのは、例えばこういう事だ。
「パソコンのコトはまったく知らないしワープロも打てないが、素人でも自在に管理できて最新技術をふんだんに使った凄いサイトを、安く作れ。」
「お宅のサービス内容を確認して申し込んだが、サービス外のことをサービス料金内でやれないのは契約違反だ。」
「著作権を放棄していない写真やイラストを使うことで経費を安くすること望むが、使ったからには著作権は我が社のものだ。」

いずれも、何重にも矛盾している話だが、私は実際に言われたことがある。
それも一度ではない。
中には脅しをかけてくる人もいた。
その度に、長い時間をかけて説得してきたが、話をするテーブルにもつけない、という事もある。
そういう時には、無理をしない。
その人たちは、私たちを必要としていないのだ。
私は、自分が人より優れていると思ったことはないが、それでも何かの役に立ちたくて仕事をしている。役に立たない仕事をして、目先のお金を追いかけたくはないのだ。
技術、アイディア、デザイン。
すべて創造力が命である。
つまらない仕事で自分を削りたくはない。