●[やりたくないユーザーたち]
08.常時接続生活のススメ
すでにネットを日常的に使っているユーザには<何をいまさら>という感じだが、今だダイヤルアップで28000モデム、という人も中にはいるし、そもそもネットを利用していない人もまだ多い。
実は、本当の意味でのネット利用は、常時接続環境でないと有効にならない。
いちいち接続料金を気にしたり、ちょっと何かを調べるにも、再接続し直しているようでは、面倒すぎて、利用頻度が上がらないからだ。

私たちの常時接続環境を紹介しよう。
我が家が常時接続になったのはずいぶん前のことだが、当時感じたのは<常時接続になって初めてネットを使いこなせるようになった>ということだ。
むろん、ネット依存度が高くなった。いくら使ってもタダ(実際には定額のコストはかかっているから使わないと損)なのだから当たり前、なのだが、新聞もテレビ番組表も、辞書も、時刻表も、地図も、全部ネット任せになった。
また、閲覧時にも余裕が出てくる。お金がかからないから、ちょっとくらい重いサイトでも<待ってやろう>という気持ちになる。ファイルサイズ10メガのムービー、なども(暇なら)見る気が出てくるのだ。以前は通信費を気にして駆け足だったサイトチェックも、じっくりと読む、あるいは見る、という本来の使い方ができるようになり、情報収集能力は格段にアップしている。
ASPなどの常時接続を前提としたようなサービスも使い勝手が向上する。

こうなってくると、一方で電話が圧倒的に少なくなる。連絡は可能なかぎりメール。こちらの都合と関係なく掛かってくる電話と違い、メールの方が落ち着いて対応できるのだ。当然、電話料金も安く済むことになり、ネット経費分はこれで相殺されている。

低額で高速の常時接続サービスも当たり前になった時代である。まだ、という人は、まずそこから整えてはいかがだろう。

補足
これは常時接続だから、という話ではないが、我が娘はインターネットのおかげで命を救われている。娘は1歳半の頃から「小児性けいれん」を患っているが、最初に入院した病院では適切な治療を行っていなかった。
娘のけいれんは一度始まると、ほぼ1時間置きに連続して続く。かなり強いけいれんで、けいれん中は呼吸が出来ない。1分以下の短いけいれんだが、次もそうだとは限らない。早くけいれんを確実に止める方法を見つけないと命に関わるのだ。
それでも、担当医は具体的な対策をまったく示さなかった。その状態のまま、半年が経過している。入院中はベッドもなしに徹夜で付き添わなければならない。看病する家族も限界に近かった。
不審に思った私は、インターネットで医者のホームページをチェックし、片っ端から相談のメールを送った。
ありがたいことに多くの医師から返事が届いた。治療に対する意見も書いてあり、多くの医師が指摘する対処方法がその中にあった。娘はその治療を受けていない。
担当医に電子メールの束をつきつけて迫ると、彼は院内にそのための設備がないために、やっていなかったことを告白したのだ。病院のメンツがあるから、できない、とは言えなかったらしい。
すぐに、必要な設備のある病院を紹介させ、そちらへ移った。経験豊富な権威のいる病院である。
約半月で対処方法を確立でき、娘は退院できた。
2002年現在、娘は小学2年生。治療はまだ続いているが、ずっと、けいれんはない。
今年からは他の子と同じようにプールにも入れるようになった。

あのとき。
インターネットからの助けがなかったら、我が子はどうなっていたのだろう。
私はインターネットの仕事を「ビジネス」と割り切れなくなった。
社会にとって必要なものなのだ。情報が人の命さえ救うことがある。
人が必要な情報を自由に得られる世の中にするために、私は仕事をしていきたいと考えている。