●[やりたくないユーザーたち]
09.8秒ルールの疑問
インターネット8秒ルール、というのがある。
アクセスして8秒以内で表示され、かつサイトの内容がわかる、というもので、これ以上かかるようだと訪問者は見てくれないから、これが来訪者を逃さないための条件だと言われているのだ。
これはある意味で正しいが、一方で無茶な要求でもあり、私たち制作者にとって、このルールはあまりにもシビアだ。
通信環境は人ぞれぞれ、時間ごとにも違うし、wwwサーバの性能やバックボーンの太さ、さらにアクセス経路によっても変わる。実際、例えば28000のモデムで8秒で開く商用サイトなど、ネット先進国のアメリカでもめったにない。56000のモデムでも15〜30秒は欲しい感じで、回線が混雑するコアタイムなら1分待ってもやっと半分、といったことも珍しくない。
それでも、インターネット有識者やコンサルの先生方は、そういうシンプルサイトこそ正しいのだ、と豪語するわけだ。

こうした条件全てを満たし、それで必ず8秒、に抑えなければならないとなれば、画像なんか一切なし、というくらいのシンプルサイトにせざるを得ない。
そういうサイトに訴求力はあるのか?。
画面のデザインや凝り具合には、ビジュアルアイデンディティを確立させると共に、<私たちはホンキでサイト運営している>という決意を伝える役目もある。
やる気が感じられないジャンクサイトが9割を占めるネットにおいて、店側の熱意を示すのは、かなり大切なことなのだ。

私たちは、訪問者のことを考えてWEBページをデザインする。
WEBサイトのデザイン構築は、情報デザインという分野に属する。
表示速度、ナビゲーション、情報整理などの要素が絡み、見た目だけ、速度だけを考えてデザインするわけにはいかない。むろん、少しでも早く表示できるに越したことはないが、訪問者にとって使いやすいかどうか、こそが大事なポイントになる。
1画面の総量が1メガ、といった極端に重い(遅い)サイトでは論外だが、一定のビジュアルプレゼンスは、やはり必要だと思う。

※通信環境がブロードバンド時代になって、ようやくビジュアルを整えても8秒で表示できるようになってきた。しかし、それでもモデムやISDNの家庭の方がまだ多い。また、ブロードバンドを想定したサイトは、ムービーが多用されるなど、さらに重いサイトになってきている。
8秒ルールが守られるようになるのは、難しい。