●[やりたくないユーザーたち]
13.付録は付録
マイレージなどの付帯サービスはともかく(これも本質的には問題山積みだ)、掲示板やチャット、オンラインゲームなどで客集めをしているサイトがまだまだ多いようだ。
フラッシュなどのアニメーションもそうだが、そんな事で客は集まらない。
<何でも好きなことを書いて結構、皆さんの井戸端会議にお使いください>といった掲示板を作っても、誰も使わない。

なぜなら、ほとんど全てのジャンルでのポータルがすでにあるからだ。
付録の魅力で商品を売る、という商法は確かにあるが、この場合、購入意欲を刺激できる付録でなければならない。ちょっとインパクトが欲しいから作りました、といったレベルの付録ではどうにもならないことは、現実世界で実証済みではないか。
チャットや掲示板を楽しむなら、そのためのサイトへ行ったほうが遥かに楽しいし、得られる情報も多い。
ゲームがしたければゲーム専門サイトや家庭用ゲーム機の方がいいに決まっているのだ。だいたい数十億をかけて作ったグラフィックを見慣れた今の人たちが、100万円以下で作った3Dバーチャル空間やら付録ムービーなんかに魅力を感じるはずがあるまい。

例えばオープニングムービー。
ホームページメニューが表示される前に、フラッシュなどのプラグインを使ったムービーを見せる。見たくない人のためにスキップするためのボタンが付いていることもあるが、有無を言わせず組み込まれている例も多い。
「当店に入るには、まず20分の映画を見るのが条件です。」
「映画を見ない人には商品を売りません」
そう言っているのと同じだ。

フラッシュムービーを見るにはマクロメディア社のプラグインソフトが必要だ。その他の形式のムービーでも、それぞれ対応するプラグインソフトが要求される。
多くの場合、購入時にこうした機能は付属しているのだが、これにもバージョンがある。購入時に入手済みのバージョンよりも新しいソフトでないと見れない、といったことも多いのだ。
こうなると、一端閲覧をやめて、マクロメディア社のサイトから最新ソフトをダウンロードし直さなければならない。
多くの場合、見れない人のためにプラグインソフト入手先へのリンクが設定されているが、そもそも客はムービーを見るために訪れたわけではない。
プラグインソフトの宣伝をしてあげて、いったい何の得になるというのか。
こんな面倒な手順を要求された客は、もう、そのサイトに戻ってこないだろう。
サイトは星の数ほどある。嫌なサイトとわざわざ付きあうはずがあるまい。

さらに悪い作りになると、フラッシュムービーが「ミステリーミートナビゲーション」になっていたりする。
ミステリーミートナビゲーションとは、メニューボタンがムービーの中に隠されており、特定の場所にポインタで触れるとボタンが現われるといったゲーム仕掛けのメニューである。
見てもらわなければならないメニューを隠してどうする?。
「店内のどこかにメニューがありますので、自分で探してください」などというレストランでは、客が怒りだすだろう。

そして電子掲示板。
掲示板を楽しむなら、そのためのサイトへ行ったほうが遥かに楽しいし、得られる情報も多い。だいたい<何でも好きなこと>といっても、個人的なことを、どこかの企業の掲示板にわざわざ書くはずがない。なんとなく欲しかった、という程度の気持ちで掲示板を置いても閑散とするだけで、かえって客の印象を悪くするだろう。
掲示板を立てるなら、自社のお客様へのスピーディな対応や、応対情報の公開による顧客満足度向上だけに徹するべきなのだ。

ムービーやゲーム形式は確かに派手でインパクトはある。
掲示板や会議室は、いかにもインターネット、という感じがする。
だが、自己満足の企画などは客から見れば、ノイズ以外のナニモノでもないのだ。