●[やりたくないユーザーたち]
15.ショッピングは冒険
以前にWEBサイトでは「信頼」を育てることが大事だ、と書いた。
そこで、今回は、もう一歩考えを深めてみる。
なぜ、信頼が必要なのか。
それは見た人に「買う」という行動を起こさせるためだ。

買う、あるいは問合せする、といった「行動」を起こさせるには、買いたいという「衝動」を引き出さなければならない。そのために様々なデザインを施し、商品を掲載し、魅力を訴える。
だが、それだけで客は「行動」に踏み切れるだろうか?。
しかも、インターネットで、である。
「今まで聞いたこともない会社から」→
「住所や電話番号などの個人情報を明かしつつ」→
「わざわざ送料も払って」→
「触って確認できない品を買う」、
という、冒険をさせることになる。
今や当たり前のようなネットショッピングだが、こうして整理して考えると、スゴイ事を要求していることがわかる。

客は警戒しているのだ。
書いてあることは本当なのか。
表示されてはいるが、本当に営業中なのか。
リスクを伴う冒険なのだから、不安はある。
見た人が必ず欲しがるような、レア商品ばかりを並べている、というのなら、何の苦労もない。だが、多くの場合、そういう品ばかりを用意できるものでもないだろう。ネットで売れるモノ、売れないモノというのは確かにあるが、例え「ネットで売れるモノ」であっても、ちゃんと営業していることを客に伝えないことにはどうにもならない。
品質や対応はキチンとしているとしても、それを客に感じさせなければならない。
新規の客にどうやって最初の一歩を踏み込ませるか。
移り気で飽きっぽい客達を、どうやってつなぎとめるか。

だから「信頼」を育てなければならないのだ。
文章で「安心ですよ」と書いてもダメ。態度で示すのである。
スタッフの顔や実際の店舗を掲載して安心させ、親近感を持たせる。
見やすく商品イメージにあったデザインと更新で、ヤル気と活気を見せる。
セキュリティ方式を公開し、安全性を訴える。
可能なかぎり迅速に対応する。
ネットショッピングというのは、購入する手順から商品到着までの、一連の流れも含めて商品だと思ったほうがいい。買い物体験も含めて商品なのだ。
売り手側の体験も含めて、不安要素を1つ1つ解消していく。

最初から、すべて安心、というわけにもいかないだろう。
お金がかかる場合もあるし、知識や技術、さらに手間を要求されることもある。
運営しながら工夫を続けていくことだ。
その工夫の足跡もまた「信頼」を生む。

客を騙すようなインチキサイトもまだまだ多い。
「信頼」を育てる努力がないと、客を「行動」させることはできないのだ。