●[WEBクリエイターの2900日]
04.広告漫画にモノ申す
僕は過去、プロ漫画家だった(今でも一応はそう)ことがあり、現在もそれをセールスポイントにしている。
広告に漫画を使うというのは、よくある手だが、時々「コレ、明らかにクライアントをだましてるなぁ」と感じる漫画広告に出くわす。

漫画広告と呼ばれているものの半分以上は「漫画」ではなく「漫画的レイアウト(演出)」に過ぎないのだ。もちろん、最初からそういうモノを狙ったデザインもあり、それが正解、という場合もあるのだが、明らかに漫画を作ろうとして失敗している、というモノが多い。単に、漫画風のコマ割りというレイアウトにフキダシという演出を施しただけ。

広告漫画というものを定義するとすれば「特定の会社や組織、あるいは商品やサービスをテーマにした漫画作品」であり、普通の漫画と基本的には変わらないのだ。
例えば「明確な人生目標を持てないまま社会人となった若者が、先輩や同僚の生き様、恋、苦悩を通じて、自信溢れる一人前の社会人に成長していく」というストーリー。
あるいは「目標もなく努力もしなかったため、落ちこぼれてしまった男が、偶然タイムスリップして過去へ。怠惰な生活をしていた過去の自分を叱咤して、運命を変えようとし始める・・・」など。
いずれも僕が携わった広報コミックだ。
前者は保険会社の社員教育ツールで、後者は専門学校の生徒募集パンフレット。保険会社用では「人生」をテーマに保険商品とライフプランニングの関係、そのセールスについてを、さりげなく伝えていく。専門学校用では、タイムスリップというSF仕立てのストーリーの中で、その専門学校に入学することで人生が変わっていく様を描く。

漫画とはドラマのことなのだ。起承転結があり、1つのドラマとして成立しているものであれば、たとえ1コマでフキダシがなくても漫画だし、コマ割りをして、フキダシがあってもドラマ性がなければ漫画とは呼べない。
広告漫画という手法が効果を生むのは、このドラマ要素があってこそだ。ドラマのない漫画なんて、誰の印象にも残らないんだよ。