●[WEBクリエイターの2900日]
14.ヘビースモーカーの弁解
筒井康隆の自選短編集(文庫)がまた発売され、久々に「最後の喫煙者」を読み返した。今回の短編集はホラー編、コメディ編とわけて編纂されているが、この短編は「コメディ編」の表題作だ。だが、今や嫌煙が当たり前になって(さすがに歩きタバコで「罰金」を取られるほど分別が無いわけではないが)、私にとっては何より怖いホラーだった。

私の場合、考えることや話すこととタバコが一体だ。例えば電話なら、受話器を上げる、タバコをくわえる、プッシュする、火を付ける、が完全に一連の動作として身体に染みついてしまっている。そうしないと落ち着かない。海外旅行も嫌い。飛行機の中では全面禁煙だし、欧米では喫煙者は日本以上に肩身が狭い。私の事務所は暖房も冷房もあまり効かない。最近寒くなってきたので、ますます閉めきって仕事しているから、室内が煙たい。
タバコを辞めようと思ったことは、実は一度もない。タバコを吸っていいことは何もない、とよく言われるが、少なくとも私にとっては「辞めて悪いこと」なら、ある。
打ち合わせや商談では当然遠慮するが、灰皿があって相手も吸うとなると、スパスパ。なぜって、吸ったほうがリラックスできるから、話も弾むしアイディアも浮かぶからだ。時間をかけて減煙、禁煙と進めていけば、何とかストップできそうな気もするが、アイディアで食べているので、余計なプレッシャーを背負うのが怖くて、禁煙は考えたくない。

自分の身体のことを除いても、パソコンなどの機材にも良くないし、家族にも良くないし、お金もかかるから、吸わないほうがいいのは確かなのだが、どうしても駄目。意地になっているわけではないのだが……。

JRが禁煙なのは許せない!。赤字補てんに煙草の税金が使われているからだ。喫煙所を分けるのは当然の配慮として認めざるを得ないが、煙草を吸っている人がいたら駅長が灰皿を持って飛んでくるべきだ。
他にも「健康増進法」なども余計なお世話だ。よく使うセミナー会場に「健康増進法を受けて灰皿を撤去します」と張り紙が出され、2003年7月から全面禁煙になってしまった。禁煙自体も気にくわないが、何より気にくわないのは「健康増進法が交付されたから」という理由だ。禁煙にするならするで、自分たちの見識で選択して欲しいものだ。こういう。自分の意見を持たない、右へならえ的な行動は大嫌いだ。