●[WEBクリエイターの2900日]
15.虚より実
何かを伝えることにおいて、そのモノをズバッと見せること以上の説得材料はない。もちろん、見せ方は考えるわけだが、深く考えないでイラストやイメージフォトに頼るのは、かえって広告効果を下げるものだと言っておきたい。
そのイラストやイメージグラフィックを作ってお代をいただいている私が言うのは、ちょっとヘンなのだが、「ヤっちゃったなぁ」という、あまり評価できない広告やWEBサイトが出来てしまうのは将来的にはマイナスだから、ここは言っておくしかないのだ。

もちろん、カタチのないサービス(私たちもそうだ)の場合は、図版やらイラストやらでフォローも必要なのだけど、「美味そうなハム」とか「カッコいいクルマ」とかなら、基本的にそのものズバリを見せることが最初に考えるべきことだ。
近ごろはパソコンの性能がアップして使い手も慣れてきているから、凝ったコラージュ風のタイトルデザインがやたらと目に付く(私もいくつか作っている)が、本当に自信のある商品ならば、ここは「そのものズバッ」で勝負したいところだ。
その他のグラフィックは商品を邪魔しない程度で十分。凝らなくたっていいのだ。

※当社サイトでは今までの実績や作例を公開しているが、これも「そのもの」を見せたほうがよい、と思うからだ。私のサイトはコラムを始め、テキスト量が多いが「最後の一押し」は論より証拠、である。

クライアントには、ぜひ自社商品の品質アップにこそ力を注いでいただきたい。そうした企業の心意気や誠実さをビジュアルで分かりやすく伝えることが、私たちの仕事だろう。本来、広告で「欲しくもないものを買わせる」ことなどできない。出来たとしたら「誇大広告」だし、一時は上手くいったとしても、結果、会社の評判を落とすだけだ。稀にデザインがあまりにいいので、思わず買ってしまうということはあるが、それは「広告」ではなく、「商品の一部としてのデザイン」の話だ。カッコイイ広告に釣られて情けない実物を買う人など、決していないだろう。

イラストや広告は「売れるはずのモノを買いたい人にわかるように伝える」ものなのだ。
原点回帰。
当たり前の研究や努力がまずあって、はじめて広告の効果も出せる、ということを理解していただきたい。