●[WEBクリエイターの2900日]
17.無意味な機能は百害あって一利なし
2003年3月18日に2つのネット事件が報じられた。
あるオークションサイトに子どもの裸体が掲載された写真集やビデオが出品されていることを知りながら放置していた疑いにより、オークション管理者である東京都東久留米市の会社役員が逮捕。
もう1つは、インターネットで知り合ったグループの集団自殺と、ソウル近郊に住む女性母親の殺害をチャットで知りあった男性に依頼し、この男性がさらにネットを通じて依頼した男子高校生が女性の母親を殺害する、というショッキングな事件だ。
いずれの事件も事件に関わった当人同士には面識がなく、ネット上だけのつながりから、大きな事件を引き起こしている。
インターネットを利用する者として、これは少々、肌が粟立つ話だ。関係者個々人は、気づかなかっただけだったり、ちょっとしたシャレのつもりだったかも知れない。それが、人が殺される、というところまで行ってしまう。

ネット上には、ほとんど管理もされずに放置されている掲示板やチャットは山ほどある。法的に制限されていても、どんなに取り締まろうと、そうした放置掲示板が事件の温床になりかねない、ということなのだ。
特に、単なる自己満足や思いつきで設置された企業サイト付属の掲示板などは要注意だろう。安易な気持ちで設置した企業掲示板などには、本来何の書き込みも期待できない。運営側もそのうち飽きてしまい、サイトの更新も止まりジャンク化していく。そうしたサイトが犯罪に利用されてしまう危険もある。

便利なネットチラシ、あるいはパンフレットとしても使えるホームページは、今や企業には必須と言っていい。いつでも気軽にお店や会社の情報を見てもらえる、という基本的な効果だけでも作っておく価値は高い。
だが、十分な管理を行えないなら、双方向性の強い機能は付加すべきではない。
サイトオーナーがパソコンを使えないなどの理由で十分な管理ができないのならば、広告的な内容に絞り込んで作るべきだろう。「自社に何の利益ももたらさない掲示板」のせいで、会社が潰れたりしたら目も当てられない。

なお、放置されているのは掲示板だけではない。お客を獲得したいがために、無理無意味な機能を押し付けたり、アタリマエの注意を促すといったモラルもなかったIT業者たちも反省すべきだろう。