●[WEBクリエイターの2900日]
18.自分勝手こそインターネットの魅力
インターネットの魅力は「双方向」とか「マルチメディア」とか「リアルタイム」とか「全国・全世界への発信」とか言われている。この他にも、広報コストが比較的安いとか、修正・変更が容易だとかの意見もある。どれも(ある意味)正しいが、さて、本当にそれが一番の魅力なのか?。
あまり声高に言う人がいないのだが、僕はインターネット最大の魅力は「自分勝手」だと思っている。

FAXは紙が切れていたら送れないし、留守の相手とは電話できない。携帯電話はどこにいてもつながるが、それはそれで煩わしい。夜中に電話するのは失礼だし、こっちの都合と関係なくかかってくるのが気にくわない。チラシやパンフレットはいつでもどこでも入手できるものではない。テレビやラジオも指定された時間でないと試聴できない。リアル世界のコミュニケーションは、原則として相手に合わせざるを得ない。

これらに対してインターネットはどうか。
言うまでもなくホームページはいつでも見れる。電子商店ならウルサイ販売員につきまとわれることもない。常に「自分本位」なのだ。
これは電子メールも同じだが、メールの場合は、これに輪をかけて「時差コミュニケーション」という特長が加わる。電話や対面と違って、電子メールでのコミュニケーションには時差があるのだ。いつでも、思ったときに送っておく。夜でも昼でも相手の都合なんか関係ないし、距離も関係ない。受信したメールも(お互いに)都合がいいときに読めばいいし返せばいい。「迅速な文通」というだけのものだが、それが互いのストレスを大きく引き下げてくれる。お互いに自分勝手。そういう割り切り方ができるからこそ気軽さが増し、リアルとは違った受け口となり得るのだ。

「双方向」「マルチメディア」「リアルタイム」「全世界」は効率を別にすれば、今までの方法でもできる。
「常に自分勝手を許せる」というのが、インターネットならではの特性。
そういうわけで、原点を見つめ直してみると、単にホームページがあって電子メールでの受け口がある、というだけで、最も大事な部分はちゃんとカバーできているのだ。

高額な費用を投じて機能山盛りのサイトを立ち上げ、面倒も抱え込んで、そのうちジャンクにしてしまう企業のみなさん。「客自身の都合に合わせた広報・宣伝」という基本に立ち返って、もっと肩の力を抜いて気軽にやりましょうよ。
ホームページがある、電子メールが使えるというだけで、あなたはお客のそばにいることができるのだから。