●[広告漫画家のつぶやき]
08.連載漫画家に人並みの暮らしは許されないのか?(仕事量のこと)
漫画家だってニンゲンです。
本当は、完全週休2日制で、一日8時間勤務の週40時間を基本として働く権利はあると思います。

雷句誠さんは、ご自身のブログで「モノクロページは3時間くらい、カラーは10時間くらい」とおっしゃっています。ちなみにボクの場合は、一人で描くならモノクロで6〜8時間、カラーで10時間、アシスタント(2人)を使ってモノクロ3〜4時間、カラー5時間というところですから、ごく標準的な作画ペースだと思います。多くの漫画家も似たようなものでしょう。

そこで「3時間/モノクロ1ページ」を平均として
連載漫画家が、世間並みの勤務条件と、どれほどかけ離れているか
を考察してみました。
ただし、分かりやすくするために1日は9時間で考えてみます。フツーのサラリーマンだって1時間程度の残業は「残業とは呼ばない範囲」なことが多いですから、それくらいは目をつぶってもいいでしょう?

1日くらいはネーム(お話や構成)を作るために空けておくべきでしょう。とすると、1日3ページづつ、毎週12ページ描けることになります。が、普通、連載作品は1回当たりギャグマンガで15〜16ページ、ストーリーマンガなら18〜20ページくらいが必要です・・・。

つまり、最初から残業前提ってこと。

ストーリーマンガの連載なら、毎日5枚は描かないと間に合わないわけで、つまり6時間づつの残業が最初から前提になってる(実際には、土日もやるといった形になっていることが多い)。
9時間+6時間=15時間!食事やちょっとした休憩も差し挟んで考えると、17時間以上の拘束時間と考えていいでしょう。毎日残るのは7時間程度。仕事以外には睡眠時間しかない!(風呂に入ったら6時間か)。
いやいや、サラリーマン並みに通勤時間があると仮定したら、睡眠時間ですら4〜5時間しかないと考えることもできます。
現実的には、毎日17時間じゃなくて、土日や祝日もやって、平均12時間くらいにすることが多いと思うんですけど、どっちみち「アホみたいな残業前提」には違いない。

それがアタリマエの世界!
労働基準局が聞いたらビックリするような勤務時間!

・・・最初から無理があるんですよ、ニンゲンの仕事として。

それでも、夢があって、やりたいことをやって、ちゃんと評価を得ているなら耐えられるのかもしれない。

あ、ボクは嫌ですよ?家族とだって過ごしたいし、ゲームしたりマンガ読んだり映画を観たりしたいですから。そういうプライベートを持つのは当然かつ必要なコトだと思いますから。かつては耐えていたけれど、今はもうダメ。最初は耐えちゃうだろうけれど、半年もしないうちに逃げちゃうでしょうね。どんなに待遇がよくても、です。

まして、罵倒されたり、描きたいものを描けなかったり、無茶や無理を要求されたりしたら、耐えているほうがオカシイ。
繰り返しますけど、ニンゲンの仕事として、最初から無理があるんです。

それでも
「だからこそ当たればデカイんじゃないか」
という意見はあるでしょう。それはボクも認めています。
ただ、ギャンブルでしかマンガの仕事には関れない、というのはどうかな、と。
ギャンブルじゃないやり方は、本当にないのかなぁ?

つづく