●[ごじゃっぺと〜さん]
14.モーソー披露宴

まんま、実話。
ついネタを考えちゃう。漫画家って罪なショーバイだよな。

こういう想像をしちゃうのは、すでに職業病になっていて、冠婚葬祭だろうがなんだろうが、とにかく思い付いてしまうんだ。自分では止められない。
例えば結婚披露宴。妄想が暴走して、新郎新婦にはないエピソードが勝手に膨らんで、勝手にウルウルしてたり。あるいは御葬式で不謹慎な想像が浮かんじゃって、ウワ〜っやべ〜って、打ち消す事に必死になって、ヘンなご焼香しちゃったり。

悪気は全然ないんですよ。でも、止まらないの。最初は小さなネタが浮かぶだけなんだけど、あっという間に連想ゲーム的に広がって、ど〜でもいい所まで行ってしまう。仕事や趣味では、それがプラスに働くんだけど、一般生活ではね、支障になるんだよな。でも、直らないし、直そうともしてない。

去年、近所を歩いているときに、突然、懸案中のマンガ企画のストーリーが浮かんできて、それがいい話で、歩きながら涙が止まらなくなって、慌てて事務所に戻ってネームを切ったことがある。すごく遠くにいて、ぼんやりとしか見えてなくて、でもアレだと思っていたものが、あるとき急に近付いてくる。アイディアが浮かぶ時って、いつもそうだ。
アタマの中にいるんだけど、どうしても会えない誰かが、突然会いに来る。自分から会いに行こうとして会えるときもあるんだけど、ダメな時は訪ねてくるまで待つしかない。ただし、来るまで忘れているんじゃなくて、専用回線を空けておいて、連絡を待つって感じかな。ずっとモヤモヤがあって、訪れるとソレがパッとかき消される。そういうときは、とても気持ちがいいんだけど、期待していた相手ではなく、別のアイディアが訪ねてきたりすることもあるから、厄介ではあるんだけど。
(そっちの締め切りはまだ先なんだよ!って言っても、来ちゃったんだから仕方ない)

アイディアを引き寄せようと努力はするんだけど、結局、来る時には来る、来ない時は来ないというしかないんだよな。そして、来る時は選べないの。アイディアが来訪しやすい心理状態にできるだけしておくことで、締め切りに間に合わせている感じで、そうなると日常から妄想生活になっちゃうんだよ。やっぱ因果だな。
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