●[ごじゃっぺと〜さん]
22.マンガを読むために本を読もう

ボクは漫画家だから、みんなにマンガを読んでほしい。
ただねぇ、マンガばっかり読むんじゃなくて、マンガじゃない本も沢山読んでから、マンガを読んでほしいんだよね。そうでないと、マンガもちゃんと読めないから。
だって、例えば「ゴルゴ13」とかさ、セリフが「・・・・・」ばっかりだよ?
この「・・・・・」は、どういう意味を持ってるのか、何を考えているのか、そこを想像できなきゃ、単なる無口なヤツになっちゃうでしょ。本を読む時は「行間を読め」などと言う事があるけど、それはマンガも同じで、「コマとコマの間」も読んでほしいんだよな。

大昔のマンガとは違って、今のマンガは表現が豊かで、それだけ複雑だとも言える。描かれていることが伝えたい事の全てではなく、描かれていないナニカを読み解くことで見えてくるものもあるんだ。そして、そういう部分にこそ、本当に大事なメッセージが隠れていたりもする。心情や状況の全てが、セリフなどで解説される訳じゃない。映画なんかもそうだね。観る側、読む側の能力があればあるほど受け止められるモノが増えていくんだ。もっと豊かになれるんだよな。

で、そういう読み方は、たぶんマンガやアニメよりも本のほうが身に付く。マンガやアニメでも、まったく身に付かないというわけではないんだけど、本が一番だと思う。絵がないからだ。
「行間を読む力」とは、想像力だ。映像や挿し絵でコレだと見てしまうのではなく、想像しながら読む本のほうが、想像力は鍛えられると思う。

娘も今はけっこう本を読む。児童書っぽいライトノベル系が多いのだけど、それでもいいと思う。ライトノベルにだって、いい作品はいくらでもあるもんね。ボクも、中学・高校生の頃はコバルト文庫なんかを読みあさったものだ。「笹本裕一」の「妖精作戦シリーズ」なんか大好きだったし、菊池秀行だって最初はコバルト文庫だもんね。「Dシリーズ」や「魔界都市新宿」よりも「妖神グルメ」のブッとび方や「風の名はアムネジア」の情感なんかのほうが好きだったな。

とにかく、本を読まずにいきなりマンガってのは、あんまりオススメできないなぁ。マンガを本当に楽しむために、まず本を読んでほしいんだよな。
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