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■アドルフに告ぐ
手塚治虫の名作。アドルフの名を持つ3人の数奇な運命を通じて戦争の悲惨さとヒューマニズムを描き上げた大作。このときは東京・江戸川区の図書館で借りたハードカバーを読んだ。
正直に言えば、あまり手塚作品の影響を受けていない世代なのだが、スケールの大きさ、絶妙な伏線、破綻なくまとめあげる筆力などに圧倒され、自らの未熟さも思い知らされた。
漫画に限らず、記念碑的作品には、本人の実力で描き上げた作品と、ある年齢、ある状態といった偶発的な要素が描かせた作品があるが、本作品はまさに、前者のベストとだろう(そういう意味で実力差がはっきりと感じられた)。後者のベストは永井豪の「デビルマン」だと思っている。 |