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■百里基地祭体験記 2010.07
2010年7月24日午前2時。灯りもなく、誰も通ってない真っ暗なつくばの裏道。なんとなく湿った空気の中、タイミング悪く、ラジオから怪談話が。
マジこえぇえ!!やめろぉおお!!

なんで、そんな時間にそんな場所にいるのかと言えば、もちろん百里基地祭でのイバライガー出動に参加するためである。基地祭でのショーはもちろん明るくなってからなのだが、物販業者などは午前4時までに基地に入って待機してなきゃならないのだ。それでイバライガーも早朝というか深夜というか、そういう時間に行かなきゃならないわけ。

視察や事前告知のために、6月にも百里基地を訪れているんだけど、さすがに自衛隊の基地、免許証などの身分証明書やクルマの車検証などが揃ってないと中には入れないし、指定された方向以外は撮影しちゃいけない。もっともドコがNGやら分からないので、適当に撮影したんだけど、最後に写真は全部チェックされて、NGな画像はその場で消去された。
F15イーグルとF4ファントム(日本ではここにしかない偵察用のファントム)の前で撮影したんだけど、いやぁ、カッコイイ!基地の隊員たちも集まってくれて、みんなはしゃぎながら撮影していた。やっぱイバライガーが現れると誰もが童心に返っちゃうんだよな。
ボクはパイロットさんと話しながら撮影してた。ファントム無頼の話とかね。やっぱ、あのマンガで憧れてパイロットになった人も多いみたいで、マンガの描写と実際の違いなんかを話してくれて面白かった。

さて、そういう下準備もしての本番。今回のショーは2日間。各2回づつで合計4回のステージ。一般入場は翌日の7月25日のみなのだが、近郊住民と招待客だけの日があるので基地祭は2日間開催なのだ。
現地に到着して、クルマの中で仮眠・・・といっても全然眠れなかったけど、とにかく朝まで待って、ようやく基地で用意してくれた控え室に入った。今回は基地でのショーのため、シャワーや冷蔵庫まである広い一室を控え室として提供してくれた。こりゃありがたい。なんせ真夏の炎天下に屋外でショーをやるんだからね。

ショーは2日間とも、すごく盛り上がった。ほとんどの来訪者は航空ショー目当てに決まってるわけで、イバライガーにどれほどの人が集まるか実は心配だったんだけど、特設ステージ前には大勢が集まってくれて、声援を上げてくれた。
ショーの内容も、しょ〜ちゃん渾身の新作百里バージョン。実際のパイロットさんにも出演してもらい、ジャーク対百里隊員の迫真の演技もあって、かっこいい内容だった。隊員さんもショーを重ねるごとに上手くなってね、後半のショーでは、すっかりなりきって見ごたえのある演技。やるなぁ!

・・・といっても、ボクは帰ってきてからビデオで観たんだけど。ボクはイバグッズの物販コーナーにつきっきりでショーは見られなかったの。いや、押し付けられたわけじゃないよ。

ボクは正式なスタッフじゃなくてゲストのような立場だから、イバライガーの関係者はいつもボクに気を遣ってくれる。でも、同行するからには、やっぱり何かを手伝わなきゃと思うし、そうじゃなきゃ単なる冷やかしになってしまう。内藤の試合のときもそうだったけど、汗水流してがんばっている連中に同行させてもらうってのに「知り合いだからの役得」と、好き勝手してるってのはボク嫌なの。やっぱ、一緒に行くからにはスタッフとして、同じ仲間として働きたい
ただ、ステージ関係ではボクにできることはほとんど何もないんだよな。最初のショーのときはテントの中で何かできないかなと思って様子を見にいったりしたんだけど、むしろウロチョロして邪魔になっちゃう。
だから物販コーナーを手伝おうと決めて、そっちに張り付くことにしたんだ。物販ならやれるというわけでもないんだけど、ショーの最中はそっちに人手が集中するから、留守番くらいの役目にはなるでしょ。
そういうわけでボクはイバライガーに同行するときも、ほとんどショーは観てない。ボクよりファンや正式なスタッフが見るべきだもんな。いいんだ、ボクは。たまに見せてもらえれば(くやしくないやい!)。

それにしても、死にたくなるほどの暑さだった。なんでこんな時期に基地祭やるんだ!と言いたくなるほどに。そして、驚く程の人が集まっていた。毎年7万人とか8万人とか来るらしい。ボクは中学生の頃(25年くらい前だ)、チャリで来た事があるんだけど、その頃とはまるで違う規模だ。すげぇな、百里。
とにかく暑さに耐えながら物販コーナーに居続けた。正直、そんなにグッズは売れなかったんだけど、イバライガーを多くの人に知ってもらいたくて、大声を上げて客寄せもしてた。そういうのは内藤大助の試合会場でいっつもやってたからね。慣れてんだよ。

2日目は、後にスタッフとして活躍してくれるクロちゃんが来場者としてやってきて、物販を手伝ってくれた。前夜にJR石岡駅に着いて、マンガ喫茶で夜明かしして、ウロウロ迷ったあげくに何とかしてきてくれたのだと言う。
いや、ご苦労様。当日は渋滞で大変なコトになるから、いっそ「夜のピクニック」のほうがいいかも、とか言ってたんだけど、結果的に本当にいっぱい歩いちゃったみたいだ。こんな交通の便の悪いトコまで来てくれて、ほんとにありがたい。
クロちゃんはコミケで慣れてるのか、こういうブースの対応はボクよりずっと上手く、接客トークも上手い。とても頼りになる援軍だ。おかげでボクは控え室で休憩したりもできた。すいませんねぇ、ふだん内勤しかしない中高年の漫画家には、寝不足で炎天下はキツくって。若さって大事だなぁ。

そういうわけで、ブルーインパルスのパフォーマンスをやってる時間には、冷房のある控え室で観てた。実際のパイロットさんと一緒だったから「旋回するときは9Gくらいになる」とか詳しく解説してもらえた。ちなみに、この月はボクの連載科学マンガで重力について扱ったばかりだったから「重力って時空の歪みのことなんですよ」とか教えてあげたら「ええっ、それじゃ9G分、時空を歪ませちゃってるわけですか!?」と目を丸くしてた(笑)。

とにかく、クソ暑い中、よくぞ頑張った!スタッフを褒めてあげたいね。
イバライガーRは(なぜか)汗で前が見えないほどだったらしい。一回のステージで(なぜか)体重が数キロ減る。ブラックは(なぜか)黒い部分が火傷状態になってしまう。それなのに、ステージが終わると会場内を歩き回ってパフォーマンスをし、いつまでも記念撮影を求める人たちに応じていた。
すげぇ根性だ。本当に感心する。物販コーナーに彼等が来ると、急にグッズも売れはじめる。いつまでもココに居てほしいとも思うけど、ボクは彼等の身体が心配で、ずっとハラハラしていた。
真夏の屋外音楽イベントやマラソン大会にずっと関わってきたから、熱中症を甘く見ると大変なことになることをよく知ってる。ハイテンションでパフォーマンスしてる当人は気付かなくても、突然倒れたりする。そして時には、二度と目を覚まさないことだってあり得るのだ。実際、来場者で熱中症になった人がいたみたいで、何度か救急車が出動していたからね。
カメラの準備ができてなくて、いつまでも待たせるお客さんとか見ると「くらぁ!」って言いたくなるんだけど、でもヒーローが黙って我慢してるのにボクがキレるわけにもいかんしなぁ。お母さん、もうちょっと早く対応してよと思いながら見てるしかないんだよね。

幸いイバライガーチームは全員事故もなく、百里基地祭をやりきることができた。あの暑さの中での2日間がどれほどキツかったか。日陰の物販コーナーにいるだけでも地獄だったんだから、直射日光の下にいたイバライガーたちは、それこそ堪え難い状態だったに違いない。
もう一度、言っておこう。よくぞ頑張った!
そして集まってくれたファンのみんなにも、心から感謝!
とりわけ歩いてまで駆け付けてくれたクロちゃんに!本当にありがとう!




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