素粒子実験によって目覚めるジャーク。
時空の彼方から出現する謎のヒューマロイド・イバライガー。
初代イバライガーに託された想いとは!
イバライガーR、ガール、ブラックの誕生秘話とは!
ジャークの正体とは!
イバライガーとともに戦う人間たちのドラマ!
ステージショーでは描けなかった様々なエピソードがついに明かされる!
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■なんで小説なの?
本当はコミック化したかったんです。ボク、一応漫画家ですから。
でも……。今のところ、本気でイバライガーを描くことはできそうになかったんです。本気で描くとなれば、作品に打ち込まなきゃなりません。つまりソレ自体を収入源として食っていかなきゃならない。だけど、どこかの誰かが原稿料を用立ててくれるわけじゃないのだから、それは無理。となると本業の合間でしかやれないから、遅々として進まないか、本気を出しきれないレベルのシロモノを描くかのどちらかにしかならないんです。
そんなレベルのモノを出すのは絶対に嫌!
というわけで、小説形式に。これなら作画という一番大変な部分がないから、何とかなりますので。小説だからラクってわけじゃないんですけど、コストは大幅に抑えられるので、小説としたわけです。
漫画家の描く小説だから不手際あるかもしれませんが、一応はショーの台本とかもやってますし、マンガも最初はシナリオをきっちり書いてから描くタイプなので、それなりにはなるかもしれません。自信はないけど、妄想するのは得意ですから(笑)。
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■小説独自の設定はある?
あります。また、オフィシャルでも使っているけど、ショーなどでは描写していない設定などもあります。基本的にはショーでの描写に矛盾しないように設定を補強していくという形で考えました。
ただし、大きく変えた部分もあります。それはイバライガーRとかブラックとかガールとかハイパーとか、次々と未来から来るという部分。そう安易にタイムトラベルできたり援軍が来たりしちゃオカシイんです。だって好きな時代に自由に行けるなら、そもそもイバライガーいりません。ジャークが生まれる前に戻って、生まれる原因を止めればいい。失敗しても何度でも同じ時間に行けるんだから、成功するまでやってればいい。過去の時間に干渉できるってことはそういうことです。
それに「しでかしたことをなかったことにできる」という思想は好きじゃないんです。過去を変えるって、そういうことになっちゃうでしょ。辛くても、過去は背負っていくしかないんだと思います。そうであるべきだと。
だからタイムトラベルには制限をかけ、安易に援軍も未来から来られなくしました。
他にも、どうしてもつじつまが合わなくなる部分は設定を見直しています。
あと、文字で表現するとなると、例えばイバライガーの各部に名称がないと描写できないんですよ。背中のアレは、拳のアレは、ベルトのあの部分は、とかね。なので、そういうのは、できる限り設定しました。(設定しながら書いていくっていう感じの部分もあるんですけど・・・)
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■ステージショーと別に設定させてもらった例
設定を考えていって、自分でも意外な答えになったのは、イバライガーのトライク。あれ、たぶんトライク型のミニライガーなんじゃないかと。
イバライガーが駆けつけなきゃいけないエリアの広さに対して、移動手段がトライクだと矛盾しちゃうんですよ。どんなに速くても、周囲に被害出さずに移動できる速度は限られてくる(地上でマッハ出せないでしょ)ので、単なる移動のための乗り物じゃないはずなんです。
なので、アレはトライク型のミニライガー。
喋るんです。勝手に動いたりもするんです。
あと、ステージショーでの技で迷ったのがイバガールの「エターナル・ウインド・フレア」ですね。これ、技名からすると放出系の技だと思えるんですよ。永遠の炎の風、ですからね。だけどショーでは打突系の技になってる。そりゃショーでエフェクト使えないんだからそうするしかないんだけど、技名と技が噛みあってないのはヘンでしょ。だけどファンもガールも慣れ親しんだ技だから、別の技に差し替えたりするのは嫌だった。
そこでショーの描写を肯定できるような解釈を考えてみた。あの技は、炎の風なんだけど、実は放出系「バースト」だけでなく、その炎の風を身にまとって突撃する「オーバーフレア」バージョンもあるのではないか、と。ショーではそっちのバージョンをやってるんだと。
「エターナル・ウインド・フレア!」の声と共に、炎の渦が現れる。ガールの全身が感情エネルギーの薄い光の粒子に包まれる(炎からの防御光壁)。そして炎の渦を身にまとったまま突撃し、打撃や蹴りで高エネルギーを叩き込む。そういうふうに解釈しています。
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そもそも銃撃とかビームじゃなくて、なんで格闘で戦わなきゃならないのか、っていう部分がありますしね。現実だったら警官も軍隊も銃を使うでしょ。だから肉弾戦が有効(あるいは必然)なことにも理由付けしてます。
Rのブレイブ・インパクトや、クロノ・ブレイクなどにも新解釈を加えてますし、ジャーク四天王なども設定追加してますね。できるだけショーの描写を生かしたまま、イマジネーションを補填していくようにしています。
他にも山ほど設定を考えてます。感情エネルギーについての設定だの、エキスポ・ダイナモの謎だの、ジャークの真の正体だの。もう考え出したらキリがないんですが、それを考えてツジツマ合わせていくのが世界を創るってことだから、ちゃんとしたいならやるしかないんで。
リアリティがないと、物語に入り込みにくくなるでしょ。ヒューマロイドが怪人と戦うっていう時点でリアルじゃないっぽいんだけど、その大嘘を受け入れてもらうために色々なことを考えなきゃならない。なんで戦車とかじゃなくてヒューマロイドなのか。あの姿にはどんな意味があるのか。材質はなんなのか。全部に理屈考えなきゃならない。そこまで求められてなくても、そこまで考えてから書くべきだと思いますし。
(でも実際の内容は、設定メインじゃないですよ。あくまでもドラマ重視。ボクはSFも科学も好きだけど、設定マニアじゃないし、あくまでも盛り上げてくれるモノが好きなのであって、SFやアニメが好きなのも、宇宙とか地球全体とか、事件の規模がデカくて、普通は観れないシーンがあるから好きなんだから。設定の説明が何ページも続いたりすると退屈しちゃうほうだし……。ただ、それでもツジツマをできるだけ合わせたいので、面倒くさくても考えるしかないんですよ)
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■物語は茨城を舞台にしてるの?
はい。でも、これはバットマンの舞台がゴッサム・シティというのと同じで、事件が起こった場所が茨城で、それ以上拡散しない理由もあるので、そのまま茨城が舞台というだけのことです。ご当地を売り込むための話ではないので、地元カラーはほとんど意識してません。
(茨城って、けっこう便利なんですよ。国内最大の巨大粒子加速器はあるわ、ヒューマロイド開発してそうな研究所はあるわ、ガジェットとして使えるモノが揃ってるので、結果として都合がよかったです)
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■原作にないキャラは出てくる?
出ます。割といっぱい出ます。
そもそも主人公はイバライガーじゃなくて人間です。もっともイバライガーたちを脇役にしているわけじゃなくて、イバライガーたちも主人公ですけど。
ただ、ボクとしては未来から来たヒューマロイドに任せきりで、現代の人は応援してるだけっていうのが納得できなかったんです。現代で起こっている事件なのに、人々はイバライガーを応援するだけで何もしないってのは、ちょっと納得できない。当事者として無責任すぎます。ステージショーでは止むを得ないけど、人間不在のドラマであっていいとは思えない。
だからイバライガーと共に戦う人間たちを配置しました。イバライガーは運命に立ち向かう人々の想いが宿ったものであって、だから戦ってるのは人間なんだと。
当然ながら一般人とかも出ます。ショーでやれない部分って、そういう部分ですから。
(だいたい、いくらイバライガーがすごくても、開発チームとか、メカニック、メンテナンス、オペレーティング、ナビゲーターとかね、色々な担当スタッフがいるはずなんだ。ヒューマロイドだけで支援がないとは考えられない。ミニとかもいるんだから生活斑とかも。機械工学の専門家と物理のプロはどうしても必要だし)
なお、ジャーク側にもオリジナルキャラは出てきます。テレビシリーズだったら、毎週新しい怪人とか出るのが普通ですから、そのへんは増やしてます。それに原作でも設定されているけれど、まだ出てきていない四天王とか、ジャーク側のイバライガーとかね。そういうのも出てきますね。
それから、これは完全にノベルだけのオリジナルのイバライガーも出てきます。厳密には「イバライガーを模したコンバットスーツ」ですが、かなりミリタリー的な、ガンダムのジムみたいなヤツです。
(それに実際のイバライガーのほうでも、今後新キャラが出てくる可能性はありますし)
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■大きな違い=怪人の扱い
元々ジャークというのは「人間に取り憑いた悪意のエネルギー体」なんですが、そうするとジャーク怪人とは「憑依された人間」なわけです。つまり被害者ですよね。それを怪人になってしまったのだからと、情け容赦なく殺していいのか。いくら悪いことをしたとしても、まともな裁判なら「心神喪失状態で無罪」なんじゃないかと。
だけど改心させるとかって設定だと盛り上がらないんですよ。やっぱりね、悪は徹底的に叩き潰したい。ウルトラマンでも、毎回怪獣を保護しようとするウルトラマンがいたけど「主旨はわかるけど、やっぱちがうな」と感じてましたし。
なので、ノベルでは怪人は元人間ではないです。四天王が生みだす分身体としました。母体となる四天王の違い、作戦目的などによって姿や能力が違うんだけど、とにかく怪人は全部「分身」です。これなら、チリも残らないくらいにやっつけられる。
また、そうした解釈に伴って、戦闘員や四天王の設定も修正しています。
戦闘員は元人間。というか今も人間。精神支配を受けているだけです。ジャーク粒子の影響下にはいますが、直接放射を受けたわけじゃないので、微量しか浴びてない。きっとダマクラカスンとかのそばにいると、自然とその身体から放射されているジャーク粒子を浴びちゃうんでしょうね。でもその程度なら、まだ人間に戻れる可能性が高いから「ジャークなんかやめてやる〜〜〜っ!」になることも。
四天王はジャーク粒子を直接(大量に)浴びて変貌してしまった人間。これは元人間だから殺しちゃまずいんだけど、まぁ、あそこまで行っちゃうと止むを得ないっていうか・・・。ま、いずれにせよ、本来は被害者であるはずの「怪人」を大量に殺すなんてことにはできないので、ギリギリに抑える工夫をしたわけです。
なお、戦闘員にはランクがあるんですよ。緑は一番下っ端。ほとんど人間のまま。赤くなると、とても攻撃的。ジャーク粒子の影響で痛覚が弱く、遠慮なしに攻撃してきます。そして黒になると……これはもう、相当な量のジャーク粒子を浴びてると思われ、戦闘員というよりも「四天王のなりそこない」でしょうね。たぶん怪人よりランクは上なんですよ。
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■小説の内容がステージショーに影響することは?
あります。その典型例が2013年3月の「ガール復活ショー(ミニガール登場編)」ですね。ステージショーとしての構成・枠内に収めなきゃならないから、かなり細部を割愛したりアレンジしたりしていますが、あのお話は小説版のミニガール登場編をベースに構成されています。
だから最後にブラックが「例の件は任せたぞ」と、謎の言葉を残す。
実は事前にブラックさんから直々に「ミニガールを抱いて登場したい」という要望があったので、それでそういうシチュエーションになるには、ミニガールをどういうキャラとして位置づけすればいいか、どういう流れでそうなるようにするかと考えていったわけです。
結果、ミニガールには意外な能力と使命が付加されることになりました。ブラックの運命も変わりました。なんせ「パパ」ですから。
今後も、そういうふうに小説と連動したショーもあるだろうと思います。
(もっとも、ネタは振ったけど、ステージショーでミニガールの特殊設定が出てくるかどうかは微妙ですね。小さいお子さんには凝った設定とかは難しいでしょ。だから、小さな子でも受け入れられるようにアレンジできたらやるかもしれませんが……)
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最後に断言しておきますが、ボクは何が何でもハッピーエンドにします。
だってねぇ、実はこの物語は、ショーというよりも現実のイバライガー関係者の生き様を暗示してる内容になってるんですよ。たった一人で絶望的な戦いを始め、やがて仲間が集い、それでも過酷な運命はさらに容赦なく振りかかって……という感じで、現実にボクが見てきた彼らの歴史とリンクしちゃっている。そういうことを狙ったわけじゃないけど、結果としてそうなってる。
だから、最後は全員ハッピーにならないと、ボク自身が我慢ならないんです。
ただ……絆があれば引き裂きたくなる、いい人であればあるほど追い込んじゃうのが作者という生き物です。だからキッツイ展開も多いです。最後にはみんなハッピーにするけど、そこにたどり着くまでは、そりゃもお、波瀾万丈すぎる。ボクなら確実に絶望して死んじゃうことが山ほど起こります。ミニライガーなどのお子様も含めて、ほぼ全員に血の涙を(流せないけど)流してもらいます。
ごめんね。
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